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 「美味い!」これが最初に飲んだ瞬間に感じた第一印象だった。
媚びた感想ではけっしてなく、身体の感覚が美味いと応えてくれた味わいの「妻」を今回はピックアップ。

 天照大神の孫である瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が高千穂の峰に降臨し定めた所が日向(ひむか)の西都であったとされ、全国でも有数の西都原古墳群がある西都の三財地区に、家族だけで営む「岩倉酒造」はある。

 宮崎の風土が醸す土地が生んだ芋焼酎「妻」の味わいと香りは、優しさと芳醇なしなやかさの味で飲み手の心までが、ゆったりとした気分に浸る事が出来る良い酒だ。その土地々には、その場所ながらの香り・雰囲気・色合いがある。宮崎という土地は、私自身にとっては身近な場所ではあるが、ここ最近の宮崎県の心穏やかではない天災とも思える災害に心痛する日々で、ここ西都も例外ではなかったが、ここに来てやっと護りを頂くことができつつある様で安心している。

 芋焼酎「妻」の仕込には、アイガモ農法で栽培したヒノヒカリを仕込米に使い、甘薯は新鮮な黄金千貫のみに限定して、味の仕上がりには細心の注意を払いつつも、石高が小さな蔵にしかできない大変こだわりを持った焼酎造りに励まれている。

 白麹で仕込んだこの焼酎は、品の良い香りがグラスに注ぐと広がる。お湯割りで頂くと甘薯の甘い香りが鼻腔をくすぐりながら、日向の風景が瞼に映し出されるようだ。良い酒とは、単に美味いだけではなくその土地の風景を呼び起こすような味の性格を持ったものが、良い酒と思う。造り手が、その土地にしっかりと根付き愛しているからこそできる職人の技であろう。心穏やかにいただくこの芋焼酎「妻」。神々の降臨の地である日向西都の酒に感謝。
鹿児島黒豚 万太